レビー小体認知症の母の奇跡

2021年11月01日

わたしの母、92歳は認知症である。言葉が出なくなる。手足が動かなくなる。幻覚を見る。特に食事の後は、眠ったようになる。が、こちらの会話は全部聞こえているらしい。今や、立ち上がることも、体を起こすこともできない。寝たきりである。毎日がこんなだと、地獄だろう。その母に奇跡が起こった・・・

母に食事を食べさせてあげる。やがて口が動かなくなる。食べたくても動かない。「もうやめようか。」というと、納得して微かにうなづく。その後、ベッドに寝かせて、クリスチャンの母に賛美歌を歌う。以前は手を握ると、微かに拍子をとっていたが、今はそれもない。

こんな母だが、一緒にいるのは楽しい。「おかあさんのそばに居られるのは嬉しいよ。」と言ってみる。母は無言で表情一つない。そんなことを言われても、本人は苦しいに違いない。「でも、お母さんは苦しいだろうと思うと、ぼくも辛くなるよ。」と、わたし。母は変わらず、無表情。そこで、こう言ってみた。「生きているっていうことは、嬉しいこともあれば辛いこともあるね。両方あって人生だね。」すると突然、母の目がパチッと開いてこちらを見つめ、深くうなづいたのだ。ささやかだが、奇跡は起こった。

多くのクライアントが、苦しみを無くしてほしいとやって来る。だが、両方あって人生なのだ。この認知症老人の知恵を、分かってもらいたい。